「海藻鍋」はかす汁仕立てで、その食べ方はいわゆる「しゃぶしゃぶ料理」と同様である。皿に盛られた海藻を箸でつまんで、あらかじめ煮立てたなべに短時間入れ、直ちに掬って口に運べばよい。たちまち口の中に海藻の香りと食感が拡がり、堪能できる。今回は7種類の海藻の食べ比べができるという趣向にもなっていた。
●7種の海藻の食味
・ギンバサ;しこしことした歯ごたえがある。
・ツルモ;やや黄色味を帯びた色をしている。しこしこ感だけではなく、香りもある。
・カジメ;はじめ黒褐色の色だが、なべに入れるとたちまち青緑色に変色するのが、印象に残る。昆布特有のヌメリ感がある。
・カスカモ;カジメと同様に、茶色から青緑色に変色する。ワカメに近い味。しこしこ感あり、ヌメリ感はない。
・アオサ;はじめから青い色をしている。いわゆる海苔の香りがして、少し苦味がある。
・岩ノリ;少し歯ごたえがある。ボタノリは岩ノリを乾燥させたもののこと。
・ワカメ;これも味噌汁に浸けるとたちまち黒い色から青緑色に変化する。口に入れるとヌメリ感がある。
●海藻は新鮮な「海の野菜」
冬は海藻採りの季節であるが、海藻を食べるには新鮮でなくてならない。今日採ってきたものは明日には死んでしまうので、その日のうちに全部食べてしまうことが大切である。つまり、採ってきてすぐ食べる、というのが原則である。
海藻を楽しむには輪島に来てもらう必要がある。他所では食べられないのではないか。冷凍技術が発達したとは言え、輪島の冬の雰囲気の中で食べるのが格別であろう。今年は暖冬で、7種類もそろえるのはかなり苦労だった様子である。
海藻は、もともと歯ごたえや香りを楽しむものとされてきたが、最近では、ミネラルの成分が注目され、「海の野菜」とも言われる。海藻には食物繊維が多く含まれ、体調を整える作用がある。
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